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こんな夢を見た vol.3| うみねこ

by ツカノマレーベル

第3回 short short story「こんな夢を見た。」受賞作品より

▪ 募集期間 2020/4/3 〜 5/3

▪ 応募総数 695作品

▪ 最終選出作品 10編

その他の受賞作品はこちら

こんな夢を見た。私は木片上に立っていた。それは海に浮かんでいる。どうやら船の一部分だったらしい。目の前には壊れかけの巨大な船、赤と青の塗装が剥がれ落ちつつある船がある。私は無数にある木片をとっ、とっ、と伝って船に向かう。周りはねずみ色の霧が満ちているが、私が動くたびに少しずつ消えていく。船の中に入っても人の気配はない。霧は船の中まで入り込んでいた。薄暗い船内をギシギシと踏み鳴らしながら進む。すると、急にいい香りがあたりにただよった。ラーメン。ラーメンの香りがする。私はその部屋を見つけた。店主の他には誰もいないが、オレンジ色の明かりは確かに灯っている。私が無言で席につくと、すぐにラーメンが出された。ねずみ色の霧が充満する、このボロボロの船の中で、ラーメンは輝いているように見えた。スープも麺もつやつやとしている。そうだ、これを食べるためにここまで来たんだったと私は思い出した。

うみねこ

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