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こんな夢を見た vol.3| 治千ちづ

by ツカノマレーベル

第3回 short short story「こんな夢を見た。」受賞作品より

▪ 募集期間 2020/4/3 〜 5/3

▪ 応募総数 695作品

▪ 最終選出作品 10編

その他の受賞作品はこちら

こんな夢を見た。

私は、かつて白鳥の湖と呼ばれていた場所の畔で体操座りをしている。左膝に貼ったばんそうこうを剥がすと、傷口があったはずの場所には、小さな穴が開いていた。

穴に指を入れてみた。するとまるで膝がくしゃみをするように、ぶるんっとふるえた。まもなく、穴からは水がこぼれだしてきた。慌てて私は、かつて白鳥の湖と呼ばれていた場所の中へ転がっていく。

少しずつ、それでも確実に水は溜まっていく。はくちょう座が夜空に輝くころに、湖は湖になった。

私は泳いだ。私がたてた水しぶきはアメンボになった。そのアメンボは、しばらくするとモンシロチョウになる。そしてモンシロチョウが金魚になり、金魚がオオサンショウウオになり、オオサンショウウオがうさぎになり、うさぎがフンボルトペンギンになり、フンボルトペンギンが白鳥になった。

気が付くと私の左膝の穴はなくなり、かわりに白く輝くユリの花びらが張り付いていた。

治千ちづ

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