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こんな夢を見た vol.2|小南 泰葉

by ツカノマレーベル

第2回 short short story「こんな夢を見た。」受賞作品より

▪ 募集期間 2019/9/9 〜 11/9

▪ 応募総数 314作品

▪ 一次選考通過 108作品

▪ 二次選考通過 30作品

▪ 最終選出作品 10作品

その他の受賞作品はこちら

 こんな夢を見た。

 透明な電車に、次々と人が乗り込んでくる。あっという間に満員になった。

 カタンコトン、カタンコトン。

 ミジンコのような私達は、菜の花畑をゆっくり走る。

 山肌には紅葉のグラデーションが広がっているが、向こうの方では雪も降っているようだ。車窓からの四季折々を眺めていると、空に一筋の光が射し、神様がそろりと片足から降りてきた。

「大きい」

 それが、神様を見た第一印象だ。次の瞬間、彼が薄化粧をしているのが分かった。美しくパーマをかけられた髪先。ネイルもペディキュアまで、神経が行き届いている。この外出は相当な気合いの入れようだ。

 神様が透明な電車の前に立った瞬間、電車は止まり、バニラオイルを湯煎にかけた時のような匂いが車内に充満した。全員が

「あ」

と思った時、神様が電車にレジン液を流し込んだ。

 照りつける太陽の紫外線を浴び、どんどんレジンが固まっていく。神様がアクセサリー作りをしているのだと悟った私達は、彼に気に入られようと、必死になった。

 さっきまで女子高生のスカートの中に手を入れていたサラリーマンは何事もなかったかのようにカフスを触る。

 包丁を手に忍ばせていた男性は買ったばかりの茶色い紙袋にそっとしまい、額を拭う。

 妊婦はお腹に優しく手を当て、子守歌を歌っている。私はそれに合わせて、持っていたギターで静かにキラキラ星を伴奏した。

 子どもは変顔をしたり面白いポーズをとったり。それを見たお年寄りは、顔の皺をさらにしわくちゃにして、笑った。

 煌めく世界に、神様は大満足。そのまま、ペンダントにチェーンを付け、首からかけてみた。

「うん、パーフェクト」

 そんなにおしゃれして、今から神様はどこに行くのだろう。

小南 泰葉

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