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朗読企画「こんな夢を見た。」2020 short short story 受賞作品

夏目漱石『夢十夜』より 朗読企画「こんな夢を見た。」2020 第2回 short short story「こんな夢を見た。」公募企画は、2019年9月9日より作品の募集を開始し、同年12月9日に締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。 ▪︎ 応募総数 314篇 ▫︎ 第1次選考通過作品 108篇 ▫︎ 第2次選考通過作品 30篇 ▫︎ 最終選考通過作品 10篇 2020年2月9日(日)福岡市美術館にて、

夢十夜‐第二夜|夏目漱石

「夢十夜」より 第二夜 こんな夢を見た。 和尚の室を退がって、廊下伝いに自分の部屋へ帰ると行灯がぼんやり点っている。片膝を座蒲団の上に突いて、灯心を掻き立てたとき、花のような丁子がぱたりと朱塗の台に落ちた。同時に部屋がぱっと明かるくなった。 襖の画は蕪村の筆である。黒い柳を濃く薄く、遠近とかいて、寒むそうな漁夫が笠を傾けて土手の上を通る

朗読企画「こんな夢を見た。」2019 short short story 受賞作品

夏目漱石『夢十夜』より 朗読企画「こんな夢を見た。」2019 short short story 「こんな夢を見た。」2019 受賞作品 第1回 short short story「こんな夢を見た。」公募企画は、2019年3月7日に作品の募集を開始し、同年4月20日に締め切りました。 応募総数665篇より、下記10篇を選出。(応募受付順に掲載) 2019年5月11日(土) 神保町ブックセンターにて、受賞作品の朗読公演を開催いたし

夢十夜‐第一夜|夏目漱石

「夢十夜」より 第一夜 こんな夢を見た。 腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかな瓜実顔をその中に横たえている。真白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、唇の色は無論赤い。とうてい死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然云った。自分も確に

ビルジング|夢野久作

巨大な四角いビルジングである。 窓という窓が残らずピッタリと閉め切ってあって、室という室が全然、暗黒を封じている。 その黒い、巨大な、四角い暗黒の一角に、黄色い、細い弦月が引っかかって、ジリ、ジリ、と沈みかかっている時刻である。 私はその暗黒の中心に在る宿直室のベッドの上に長くなって、隣室と境目の壁に頭を向けたまま、タッタ一人でスヤス